西岡 孝之

現在担当している業務は

■平常業務
美浦トレーニング・センターは、レース前の競走馬を集中的に管理する施設で、約2,000頭の競走馬が、レースに向けてコンディションを整えています。私はトレーニング・センター内に設置された診療所に勤務し、競走馬の診療や治療、各種検査などを実施しています。トレーニング中には跛行や骨折、屈腱炎などといった運動器の疾患が発生しやすく、競馬場への輸送中には輸送熱などの呼吸器疾患を患う危険性もあります。そこで、競走馬に異変が生じた際には、厩舎からの要請に応じて直ちに診察を行い、疾病の早期発見・治療に努めます。また、トレーニング・センターで預かっている競走馬の疾病・防疫状況を資料にまとめているほか、診療業務の各種調整も行っています。
■開催業務
競馬場の診療所で、競走馬の健康状況をチェックしており、レース後の競走馬を検診して、異常の有無を確認し、同時に“眼洗い”をして、レース中に眼に入った砂粒を洗い流します。万が一、レースにより疾病が発症した場合には、即座に競馬場内で応急処置を行い事後の指示をします。レース直後の競走馬は気が高ぶっていることも多く、そんなときは少し時間をおいて、骨折の有無などを確かめています。レースとレースのわずか30~40分の間に馬の状況を確認するため、スピードと正確さの両方が求められます。

JRAを就職先として選んだ理由は

競馬好きの父に連れられ、子どもの頃から競馬場でレースを観戦しており、中学生の頃には、競馬に関連した仕事に興味をもつようになりました。やがて、競馬について詳しく調べた私は、競走馬の身体が非常に繊細であることを知り、また、強い馬でありながらも、レース中の事故などで引退せざるを得ないケースもあり、「何かできることをしたい」と強く願うようになりました。そして、高校1年の時、JRAの採用ホームページで獣医職の募集を発見。「自分の進む道はこれだ!」と思い、獣医学部に進学しました。

やりがいを感じることは

競走馬の診療や治療を進める上で最も大切なのは、調教師や厩務員と連携を図ることです。治療に関する要望をしっかりと確認した上で、治療の方針をたてる必要があるからです。先輩職員を見ていると、厩舎関係者とのコミュニケーションが密接で、厩舎関係者からも信頼されていることがよくわかります。私も一人で診療を担当し始めた頃は経験不足が故に苦労することもありましたが、だからこそ、治療を経て競走馬が元気になっていく様子を見ると心の底から嬉しくなります。診療所の職員が治療に携わった馬がレースに出走し、好成績を出した時は特に、「この仕事を選んで本当に良かった」と思います。

これまでに印象深かったことは

食欲不振の競走馬を診たときのことです。状態が一時落ち着いたのですが、レースに向けての最終調整は延期せざるをえず、その後、ビタミン剤の投与や輸液を行って馬の疲労回復に努めました。レース直前の数日間に、どこまでコンディションを整えることができるかどうか時間との戦いでしたが、最善を尽くした結果、3着という結果を出してくれました。その後、調教師や厩務員の方々が診療所まで来て、感謝の言葉を下さったのです。“競走馬の獣医”として、大きな喜びを感じた出来事でした。

将来の目標や夢は

入会3年目の私にとって、一番の目標は経験を積み、努力を重ね、信頼される獣医になることです。私を信頼して相談してくれる厩舎関係者もおり、こうした方の信頼にしっかり応えていきたいと思っています。また、これまでに重い症例の競走馬を担当し、残念ながら助けられなかった経験もありますので、医療技術の進歩と、私たちの努力が実を結び、一頭でも多くの命を救っていけたらと思っています。それが、獣医である私の使命であり、何よりの願いでもあります。

学生へのメッセージ

獣医職の活躍の場は、臨床はもちろんのこと、防疫や感染症の研究、競走馬の育成など、幅広いフィールドがあります。これらの中で実際、先輩職員は多くの方が“得意分野”をもっており、その多くが日本でもトップレベルの実力を誇っています。こうした方々から意見を聞く機会も多く、とても刺激的な仕事だと感じています。自信を持って、「やりがいある仕事」だと言えるので、獣医学部で学んでいる学生の皆さんにも、ぜひ就職先として検討していただけたら嬉しいです。

プロフィール
西岡 孝之
美浦トレーニング・センター 診療課、入会3年目。
1年目から現職

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