働く人の紹介
馬取扱技能職
日高育成牧場
業務課
坂口 南斗
2018年度入会

入会の動機は?

中学生の頃、親に競馬場に連れていってもらいGⅠレースを見たことが、馬に興味を持ったきっかけでした。

「馬にさわってみたい!」と思い始めた時期が受験前の高校を決めるタイミングで、たまたま近くの高校に馬術部があることを知り、その高校に進学しました。そして、馬術部で馬に乗ったり、馬を扱う技術を学んだりするうちに、馬に関わることのできる仕事をしたいと思うようになりました。

JRAでは、ずっと馬に関わりながら仕事ができるので夢が叶ったという想いです。

競走馬の育成・調教の具体的な内容は?

日高育成牧場で生産したホームブレッドや、セリで購入した1歳馬など、約60頭を騎乗できるようにすることが調教のスタートです。1歳馬は鞍をつけたこともないので、丁寧に一つひとつできることを増やしていきながら調教していきます。

その後、騎乗調教に移ってからは、主に屋内800mトラック、屋外1600mトラック、屋内 坂路、トレッドミル、ウォーキングマシンを活用します。自分の担当馬の調教だけでなく、厩舎の掃除や餌の用意、馬の体調管理や手入れなど、馬に関わる管理をすべて行います。

目標は、年明け4月に中山競馬場で行われるJRAブリーズアップセールの騎乗供覧で良い動きを見せ、オーナーに購入していただくことです。競馬で活躍できる馬の育成を業務として行っています。

どのようなことを心がけていますか?

馬は一頭一頭性格も体格も異なります。調教を担当する馬の些細なことも見逃さずに理解するようにし、良いところはたくさん褒めて伸ばし、ダメなときはしっかりと叱るようにしています。

中には、他の馬はすぐにできることができない馬もいることがあります。ときには忍耐が必要になることも多々ありますが、寛大な心を持って丁寧に調教をするようにしています。

やりがいを感じるのはどんなときですか?

馬の成長を感じ、馬の気持ちや行動をより深く理解できたときです。

調教初期は人が乗ることもできない状態ですか、最終的には競馬と同じ速度の1F12秒台で走ることができるようになります。そこまでできるようにするには、当然こちらがすべて馬に教えてあげないとできるようになりません。そのため、こちらが明確に教えてあげる技術がないと調教は上手くいかないのです。

その馬のことを理解して調教が上手くいき、馬の成長を感じるときがとても嬉しく、やりがいを感じます。

「育成馬の調教」と「乗馬の調教」の違いは?

日高育成牧場では、育成馬だけではなく乗馬も約30頭います。午前中は主に育成馬の調教をするので、午後からが乗馬の調教や指導の時間になっています。

乗馬の調教で心がけているのは、子供たちが乗っても安全で、かつ技術が向上できる馬づくりです。自分が本気にならないと乗れないような馬になってしまうと、自分よりも力も経験もない子供たちが上手く乗ることはできないのではないかと私は考えています。子供たちが楽しくかつ楽に乗れる馬、シンプルで乗りやすい馬になるように日々調教しています。

乗馬の指導・普及活動でのやりがいは?

高校生や少年団の乗馬指導を行ったり、外部からの依頼でホースショーや曳き馬体験などのイベントを行ったりしています。とくに育成馬がいない5月から8月末にかけては、ノーザンホースパークで行われる馬術大会の競技会に、普段指導をしている子供たちと一緒に参加させてもらっています。自分が担当している馬に子供たちが乗って試合で良い成績を出したときが、この仕事のやりがいをとても感じる瞬間です。

また、競技に限らず、普段自分が担当している馬に子供たちが乗り、上手くいったときの嬉しそうな姿を見ることが日々の活力となっています。

出張時の開催業務について教えてください。

日高育成牧場の職員の場合は、育成馬がいる9月から5月の間は繁忙期になることから、育成馬のいない短い期間に毎年数回、競馬場での開催業務に関わります。

そこで担当しているのは、「整馬」といって出走する馬をゲートに入れる役割や、「検体」の業務です。検体で1着から3着の入着馬に対してドーピング検査を行うのですが、そこでの尿の採取などを担当しています。そのほかには「放馬止」の仕事に入ることもあります。

皆さんへのメッセージ

馬に関わることが大好きな人には本当におすすめの職場環境です。勤務先によって仕事の内容は少し変わりますし、求められるスキルも異なってくるかもしれませんが、その中でたくさんのことを学び、ホースマンとして成長することができるのも魅力的だと思っています。

また、現在、日本ではJRAが馬という生き物を扱う組織の中でいちばん影響力も高く、魅力を伝えることができると自負しています。その組織の一員として、馬と共に日々成長していきたい人はぜひ一緒に働きましょう。