お客様の心に残る最高のレースを
考え抜くJRAの根幹業務
『競馬番組編成プロジェクト』
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事務職競走部 番組企画室 企画課別宮 慧Kei Bekku2009年度入会
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事務職競走部 番組企画室 企画課新飼 麻友Mayu Shinkai2013年度入会
※プロジェクト担当時の部署名を記載しています。
編成プラン作成の目安とするため
年齢別・条件別の在籍馬を推定
番組作成は、時期によっては半年以上も先の内容を考えなければならないわけですが、策定会議に先立って、まず東西トレーニング・センターにどれだけの馬が在籍しているか、時期を分けて年齢別・条件別に推定します。実績や近年の傾向をもとに行う「未来予測」のようなものですが、各開催の各条件で何競走実施するかを割り出す際の目安となるため、重要な作業として捉えており、こちらは東西トレーニング・センター競走課が主に担当します。
ローテーション会議で
各競走の新設・変更・休止など
を決定する
その後、競馬番組の中でも柱となる高条件(オープン・3勝クラス)のローテーション会議を行います。基本的には前年のローテーションをベースとして議論を始めますが、実績や関係者からの要望等を踏まえながら、各競走の新設・変更・休止の必要性について話し合います。
内容決定後、開催ごとにその他の条件の競走数を決定します。直近の動向やトレーニング・センター競走課作成の推定資料を参考にしますが、各条件とも一定の出走頭数を確保することを念頭に設定します。
若手職員中心に自由な発想で原案作成
それを番組作成会議で完成させる
ここから先は開催ごとに担当者が原案作成を行います。対象となるのはトレーニング・センター競走課係員、競馬場業務課係長、企画課係員ですが、係長以下の若手職員が主となりますので、固定観念に縛られずある程度自由な発想で作ってもらい、会議の場でプレゼンしてもらいます。その内容に対して参加者で意見を出し合い、ブラッシュアップしていくのですが、2、3日間で各季の全番組を完成させていきますので、さながら合宿のような感じです。
それぞれの競馬場での
ラインナップと競走順序を決める
全条件の競走内容が決まると、週ごとに特別競走のラインナップを考えていきます。その後、ハンデキャッパーが主体となり、ハンデキャップ競走の対象を決め、最後に1日の競走の順序を決めていきます。
可能な限り、片方の曜日に特定の距離が偏ったり、同距離の競走が続いたり、ということはないように留意しています。特別競走についても、可能な限り、継続的に同じ内容で実施したいところですが、レースによっては実施週や曜日などが固定されているものもあり、やむなく中身が変わることもあります。
番組編成内容の精査・確認
印刷物の作成・チェック
番組作成会議が終わると、その後1~2週間は内容の精査を行います。競走順序に問題がないか、新規の競走名を使用する場合には妥当性があるかなど、チェック項目は多岐に渡り、各項目で修正が発生することもあります。確認後は印刷物の作成に入ります。
競馬番組はトレーニング・センターや競馬場など各所に掲示するほか、冊子を作製して広く配布しますので、印刷物のチェックは複数の目で何度も繰り返します。こうして、各季が始まる1ヵ月半ほど前を目途に、番組発表します。発表まで辿り着くとようやく一息つけますが、また1ヵ月ほどで次の季の番組作成が始まります。
会議のときは
議論が停滞しないよう配慮
日常的なコミュニケーションも
欠かせない
立場上、会議の進行をする機会が多いのですが、なるべく沈黙の時間ができないよう心がけています。議論が停滞したときは区切りを入れて、何か提案したり、若手に意見を求めたりと空気に流れを作るようにしています。
また、安全で円滑な競馬の実施にあたり、騎手や調教師の皆さんから番組面の要望やご意見を頂くこともあります。ですので、競馬開催日やトレーニング・センターにおいては日常的に調教師や騎手の方とコミュニケーションを取るようにしています。
「無」から作ったレースが
感動につながる
その一端を担っていること。
そのものがやりがい
ファンとして競馬を楽しんでいた頃には想像もしていなかったような複雑な要素が絡み合い、競馬番組は成り立っているのだと学びました。適切な番組配置を考えるには、競馬場ごとの独自ルールや季節による制約、さらに出馬投票関連のルール等も熟知する必要があります。このようなプロセスを経て、JRA職員としての幅が出たと思いますし、成長できた部分なのかなと思います。
競馬番組というのは「無」から作っていき、発表当時はあくまで紙ベースでしかないのですが、レース当該週の木曜日に出馬投票が行われたとき、初めて実態としての「レース」になります。その後は厩舎関係者、騎手、競走馬に委ねる形となり、競馬場での興奮や感動につながっていくわけですが、JRA職員として各競走の一端を担っているということ、そのものが、私たちのやりがいです。